ジェネリック医薬品(後発薬)の供給不足を受け、県内薬局では患者に薬の切り替えについて説明するなど対応に追われている。将来の品薄を恐れ過剰在庫に陥る薬局もあり、経営にも影を落とす。流通の正常化には2、3年かかる見通しで、現場からは「薬の変更は患者との信頼関係に関わる」と不安の声が漏れる。「これから風邪がはやる時季なのにどうしたらいいか」。宇都宮市の中央薬局江曽島店の管理薬剤師、中里恵介(なかざとけいすけ)さん(34)は頭を抱える。11月下旬に痰(たん)切り薬が出荷調整となり、供給が滞る見通しという。後発薬の在庫がない場合、同店では隣接する医療機関の医師にも相談し、効能のほか価格や形状などが近い薬で対応しているが、選定にも患者の理解を得るのにも時間がかかる。先発薬に切り替えざるを得ず、患者の負担費用が増えることもある。「後発薬の安心感を啓発するにも、一薬剤師としては限界がある。国がイメージを取り戻す努力をしてほしい」と求める。県薬剤師会には同様の混乱が会員から報告されている。一時期は、不正が発覚した企業が製造しているというだけで薬を断る患者もいたという。他の薬局を案内するなどして薬を提供する場合もあるが、出荷調整に備えて過剰に仕入れ、在庫を抱えるケースも出ている。関係者からは「新たな薬でコントロールするには時間が必要な場合もある。薬の変更は薬剤師と患者の信頼関係にも関わり、現場は深刻だ」との声も聞かれる。今後は季節性花粉症で処方される抗アレルギー薬などの不足が見込まれており、同会は市販薬の利用も含めた早めの対策を呼び掛ける。渡辺和裕(わたなべかずひろ)会長は「不安がある場合はまずはかかりつけ薬剤師に相談してほしい。医師と相談しながら対応していきたい」としている。