甲状腺検査の過剰診断「知識普及に工夫必要」 福島医大国際シンポ


大阪大大学院医学系研究科の祖父江友孝教授は甲状腺検査で指摘されている過剰診断について解説した。祖父江教授は「(一般的に)過剰診断は、進行がゆっくりしているために、その人が生きている間には症状などが出ないと考えられるがんを、検診などで見つけてしまうことだ」と説明。個々のがんについて、過剰診断かどうか判断するのが難しいことも指摘した。その上で「過剰診断は、通常のがん検診で起こりうる重大な不利益の一つ。専門家にとっても理解が難しい問題だが、知識の普及に特別な工夫が必要だ」と語った。分科会の座長を務めた福島医大甲状腺・内分泌センターの横谷進センター長は「この過剰診断の話を福島の甲状腺検査にどう生かすか、たくさんの人による議論が進むことを望む」と述べた。甲状腺検査を巡ってはこのほか、インペリアル・カレッジ・ロンドン(英国)のジェリー・トーマス教授が、英国からオンラインで基調講演した。旧ソ連チェルノブイリ原発事故の健康影響に関する研究に携わるトーマス教授は、福島で見つかっている甲状腺がんについて、「チェルノブイリで見つかった甲状腺がんとは、年齢分布が違っている」と指摘。大規模な集団検査の結果見つかっており、放射線の影響によるものではないとの考えを示した。

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