ユニクロで今秋発売された110~160センチサイズのボディースーツが、介助の必要な障害児・者の父母らの間で話題となっている。子ども用のボディースーツとしては、股下にボタンのついたロンパースが知られている。この構造が介助にうってつけといい、兵庫県内でも2店にサンプルが置かれ、父母らからは「待ってました!」と感嘆の声が上がっている。(鈴木久仁子)胃ろうや気管切開、肢体障害などで自由に体を動かせない子どもたちの介助で重要なのが着替えや排せつのケア。ロンパースは着替えやすく、抱き上げた際におなかが出ない上、おむつも容易に交換できる。ところが、子ども用の市販品は乳幼児サイズまでしかなかった。介護用品で出ている下着は1枚2、3千円するといい、「自分で作っていた」という保護者も少なくない。24時間気の抜けない介助を続ける中で、下着がままならないのは「大きなストレス」だったという。こうした声に応えようと商品開発に動き出したのがユニクロを運営するファーストリテイリングだった。市場調査をしたところ「ニーズはあるのに品薄で高額」という現状が分かり、父母らの希望を聞き取り。商品化にあたり「子どもの下着として買い替えやすい価格」で「着替えさせやすく、快適なもの」を目指したそうだ。9月7日にネット限定で発売。商品名は「KIDSコットン前あきクルーネックボディスーツ」(990円)で、サイズは110センチから10センチ刻みで160センチまで用意した。たちまち全国から反響があったという。「神戸市重度心身障害児(者)父母の会じゅうしんきっず&ゆーす」の会員間でも話題となった。購入希望の一方、素材や伸縮性、サイズ感などを知りたいとの声も。そこで、ユニクロ側に交渉してサンプルを取り寄せ、12月6日、会員向けに品評会を行った。「外側に縫い目があるのはうれしい。敏感肌でも大丈夫」「うつぶせで訓練する時、このボタンは痛そうちゃう?」「冬用も作ってくれへんかなぁ」-などさまざまな意見が出たが、「夢のよう。5枚はほしい」「期待以上の商品」と評判は上々。同会の井関宏美代表は「ほしい人はまだまだいる。困っている保護者がつながって、広まってほしい」と話す。県内でサンプルを設置しているのはユニクロ西脇店(西脇市高田井町)とBRANCH神戸学園都市店(神戸市垂水区小束山手2)。いずれも販売はしていない。