大町総合病院、産科休止へ 大北地域唯一の分娩扱う施設


大町市立大町総合病院は18日、産科診療を11月から休止すると発表した。現在の常勤医師は60代後半の男性医師1人だけで、夜間・休日に非常勤医師の応援を得ていたものの負担が重く、「医師1人で産科医療を担うのは困難」と判断した。同病院は大町北安曇地域で唯一、分娩(ぶんべん)を取り扱っており、地域で出産できる施設がなくなることになる。
 同日の市長定例会見で、井上善博院長が明らかにした。10月末までの出産予定者14人は同病院で受け入れ、11月以降の出産予定者約20人には長野、松本地域の医療機関を紹介する。常勤医師は11月から非常勤になり、婦人科の診療だけを受け持つ。出産を担う施設で市街地から最も近いのは安曇野市の穂高病院で、車で30分ほどかかる。
 大町総合病院の産科は昨年10月、2人いた常勤医師のうち1人が退職。その後は分娩数を制限し、今年4月から8月18日までの出産は25件だった。常勤医師は4月と7月、産科休止の意向を申し出ていたという。並行して常勤医師の増員に努めてきたが、全国的に産科医が不足する中で確保のめどが立たなかった。
 井上院長は「休止は非常に残念。何とか再開したいが、病院単独ではどうにもならない」と述べた。同病院は2015年3〜9月、産科医不足のため分娩の取り扱いを休止したことがある。

(8月19日)

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