ヒトiPSから腎組織の一部作製 遺伝性の病気再現の可能性 京大グループ発表


ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から腎組織の一部を作製することに成功したと、京都大iPS細胞研究所のグループが発表した。遺伝性の腎臓病の再現などに応用できる可能性がある。米科学誌セル・リポーツに29日掲載される。腎臓で血液から老廃物をろ過して作られた尿は、尿細管から集合管に流れ尿管を経てぼうこうに至る。現状ではiPS細胞やES細胞(胚性幹細胞)から、集合管を作った報告はないという。同研究所の長船健二教授や前伸一助教らは、iPS細胞から集合管の元となる細胞の培養条件を工夫。その結果、多数の集合管の組み合わさった胎児期の腎臓に近い組織を作製できた。先天性の腎臓病の一つである多嚢胞性(たのうほうせい)異形成腎(MCDK)の原因となる遺伝子を欠損させると、試験管レベルで病態を再現できたという。長船教授は「現状では、成人の腎臓は再現できていない。今後さらに研究を進めていきたい」と話している。

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