スマホで特定保健指導低迷 静岡市、利用わずか3人


特定健診で生活習慣の改善が必要とされた国民健康保険加入者向けの「特定保健指導」の実施率向上のため、静岡市は本年度、スマートフォンのアプリを使った指導に乗り出したが、10月末時点の利用はわずか3人と低迷している。歩数や体重を記録できて個別指導も可能と利便性は高いが、周知不足は否めず、市は「自宅でできてコロナ禍でも負担が少ない」と利用拡大に力を入れている。
 特定保健指導の実施率は全国的に低迷し、特に働き盛りの40、50代が低調。同市では、2019年度の特定健診対象者は10万3311人(暫定値)で、このうち指導が必要とされたのは3153人(同)だった。18年度の指導実施率は35・1%。全国20政令市中3位だが、国が目標とする60%にはほど遠く、40、50代は20%台にとどまっている。
 通常、指導は平日の日中に少なくとも1回、保健師と面接する必要があるが、仕事に忙しい世代はこの時間がなかなか取れない実情がある。そこで市は19年度、この世代の実施率向上を狙って情報通信技術(ICT)を活用することにし、タブレット端末を貸し出しての指導を始めた。本年度はさらに利便性を向上させようと、東京都内の企業と提携してアプリを導入した。
 アプリを活用すれば、オンラインで面談でき、場所や時間の制約が少ない。チャット機能で管理栄養士の指導も受けられ、写真で食事を記録できる。市はチラシなどで対象者にアプリ導入を促した。対面する必要がないため、コロナ禍が利用促進につながることを期待したが、利用者は伸びなかった。
 市健康づくり推進課の担当者は、対象者がアプリのインストールを面倒に感じている可能性があると分析する。今後、市のホームページでアプリの詳細を紹介し、チラシもリニューアルして周知に本腰を入れる。

 <メモ>特定保健指導 40~74歳の国民健康保険加入者を対象にした特定健診で腹囲、血糖や血圧、脂質などの数値が一定の基準以上だった人に実施する。内臓脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)の減少や生活習慣病の予防、改善を図る。保健師や管理栄養士が指導を担当する。個別面接やグループ支援を1回行う「動機付け支援」と動機付け支援に加えて3カ月以上、定期的に支える「積極的支援」の2種類がある。国の2017年度の特定健診受診率は53・1%、特定保健指導実施率は19・5%。

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