摂食嚥下障害 「手帳」で情報共有 新潟市内共通 医療関係者が作成


食べ物を食べたり飲んだりしにくくなる摂食嚥下(えんげ)障害の患者のケアに役立ててもらおうと、新潟市内の医療関係者らが「新潟嚥下手帳」を作った。患者ごとに、どのような食事をどうやって食べているかなどを記録するもので、医師ら専門職をはじめ、患者をサポートする家族や介助者らの情報共有に活用してもらう。 作成したのは、嚥下障害の人を支援する市内各地の団体や、市医師会などでつくる「新潟摂食嚥下ネットワーク懇談会」。現在も各地域で独自の情報共有シートなどは使われているが、市内共通の様式がなく、多職種での情報共有が円滑に進めにくい課題があった。 手帳には、医療機関が飲み込みの状態を評価し、食形態や水分の取り方などを記入。食べる際の姿勢や一口量など対応法や工夫を具体的に共有できるようにした。介助者らが食事の状況の変化や疑問などを書き込むスペースも設けた。 嚥下障害は気道に食べ物が誤って入り込む「誤嚥(ごえん)」を起こし、命に関わることもある。食べ物と一緒に口や喉の菌が肺に入ることで肺炎を起こすケースも見られる。懇談会によると、高齢者は喉の筋力低下などで嚥下障害が生じやすいこと、原因の一つとなる脳血管障害が加齢に伴い増加することから、高齢化により嚥下障害の人が増えると考えられるという。 作成に携わった新潟リハビリテーション病院の中尾真理医師は「常に携帯したいと思えるものをコンセプトに作った。患者が退院後も、良い状態をたもてることが大事」と話した。 手帳はA5判18ページ。嚥下障害と診断された人や、その可能性がある人に医療機関から配布する。

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