埼玉の戸田中央医科グループ 薬剤師の奨学金返済支援


首都圏などで29病院を運営する戸田中央医科グループ(埼玉県戸田市)は、採用した薬剤師の奨学金返済を支援する。グループの選抜試験合格者に毎月最大で5万円、最長6年間で360万円を支給する。奨学生の負担を軽減することで優秀な人材を確保する狙いだ。大学の薬学部生の就職活動は、初任給が比較的高いドラッグストアなどの人気が高く、郊外の病院は採用に苦戦する例が目立つという。同グループの奨学金返済支援制度は、大学や大学院在学時に返済義務のある貸与型奨学金を利用した学生で、同グループの「薬剤師特待入職選抜試験」の合格者が対象。採用後は指定する病院や施設で常勤の薬剤師として勤務する。最大で毎年度3人の制度適用を予定する。2021年4月からの開始に向け、10月から希望者の募集を始めた。11月半ばに選抜試験を実施し、合否を12月に伝える。来年以降は採用活動の始まる春に募集し、5~6月に試験を予定する。同グループでは地方の病院で薬剤師の人材確保に苦戦している。大手調剤薬局やドラッグスストアの初任給が30万円程度なのに対し、同グループは24万円ほど。調剤薬局やドラッグストアの中には奨学金の返済支援制度を設けているところもあり、奨学金の返済が必要な学生の人気が高い。病院の薬剤師は現場で多くの症例に接して実務経験を積める利点がある。その半面、奨学金が返済できないとの理由で若手が就業後数年で転職する例もあるという。薬学部生の就職先には、製薬会社の医薬情報担当者という選択肢もあり、病院にとって薬剤師を獲得する環境は厳しくなっている。同グループは奨学金返済支援制度だけでなく、最先端の医療現場で医師や看護師らと一緒に活躍できる点など、仕事のやりがいもPRする。担当者は「専門人材を育て、チーム医療の質を高めたい」と強調している。

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