介護予防・健康増進 浜松で実証事業 市と民間企業がタッグ


浜松市と大手企業が連携し、疾病・介護予防や健康づくりに関する社会実証事業を行う「浜松ウエルネス・ラボ」が今秋、本格的に始動した。市内で先進的な製品、サービスを試行し市民の健康増進に役立てるほか、民間の事業化を後押しすることで官民双方にとって“ウイン・ウイン”の結果を目指す。
 「浜松市は人口も多く、事業の協力者を探しやすい。市や医療機関の支援も心強い」。9月に市や同市の聖隷福祉事業団、ファンケル(横浜市)と連携して軽度認知機能障害(MCI)の改善を図る特定臨床研究に着手したキリンホールディングス(東京都)の担当者は、同ラボ参加のメリットを語る。
 研究では、MCIの症状がある50歳以上の男女に乳由来の素材「βラクトリン」を含むサプリメントを継続摂取してもらい、認知機能や気分の改善効果を調べる。研究参加者の募集や検査などを同事業団が支援。MCIの判別手法の改良も視野に入れる。
 キリンホールディングスとファンケルのほか、生保など多彩な業種の7社が事業を実施予定。住友生命は、プロ選手を講師に招いた親子向けスポーツ教室をオンライン開催する計画だ。デジタル技術や対面アプローチを活用し、糖尿病予備群の人に改善行動を促すSOMPOひまわり生命の事業などもある。
 市は本年度、市民の病気を未然に防ぎ、健康で長生きできる「予防・健幸都市」の実現を目指し、官民連携の協議会を設立した。同ラボも取り組みの一環で、高齢化に伴って増えている認知症や糖尿病の予防など、市民の健康分野の課題解決に期待が掛かる。
 市健康福祉部の鈴木久仁厚副参事は「協力者の確保や得られた知見の共有、活用など課題もある」とした上で「事業の成果を市民の健康寿命の延伸に役立てたい」と意気込む。

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