4棟解体、25年新棟開院 安芸市民病院建て替え、広島市が基本計画


広島市は、老朽化した安芸市民病院(安芸区畑賀)の建て替え基本計画をまとめた。全5棟のうち、築40年を超えた病棟など4棟を解体し、2025年に地上4階、地下1階の新棟をオープンさせる。全140床のうち療養病床40床を介護保険施設である介護医療院に転換。国の方針や高齢化をにらみ、医療を受けながら長期的に療養する必要がある人に対応する。計画では平屋の機能訓練棟を解体し、その跡地と隣接の駐車場に新棟(延べ約7千平方メートル)を建てる。既存の病棟2棟とサービス棟(いずれも鉄筋2階建て)は、新棟に機能を移した後に取り壊す。04年完成の外来・緩和ケア棟は残し、新棟と廊下でつなぐ。同病院は、厚生労働省が昨年9月に公表した再編・統合を促す病院のリストに含まれている。高齢化により膨張する医療費を抑えるため病床削減などを進めたい同省の方針も踏まえ、病床の機能を見直す。具体的には、60床ある医療療養病床のうち40床を介護医療院にする。介護医療院は18年に国が創設した制度で、医療ケアと住まいの機能を持つ。残り20床は、在宅復帰に向けたリハビリをする地域包括ケア病床にする。市医療政策課は「医療保険が適用されるベッドを減らすことになり、国の方針に沿う」と説明する。一方、手術などが必要な急性期患者のための病床やがん患者の緩和ケア病床を残し、介護医療院を含めた全体の病床数は140床を維持する。末田泰二郎院長(67)は「病院一帯のエリアは高齢化が進む一方、ベッドタウンの性質を併せ持ち、若年層も多い。急性期の機能を守り、地域の拠点病院としての役割を果たしたい」と話す。市は解体、建設などの事業費(土木工事を除く)を57億4千万円と想定。先の市議会定例会で、設計費として2億2300万円を限度額とする債務負担行為が認められた。近く業者の公募に入る。同病院は01年、国立療養所畑賀病院を引き継いで開設。運営は市医師会に委託している。(田中美千子)<クリック>介護医療院 医療ケアが必要な人が長期療養しながら生活する介護保険施設。医療と介護のサービスを一体的に提供し、みとりにも対応する。慢性的な病を抱える高齢者が増える中、国が2018年4月に創設。高齢者たちが長期入院する療養病床のうち、23年度末に廃止される介護保険適用の介護療養病床からの転換が多い。医療保険適用の医療療養病床などからも移行できる。広島県内には4月1日時点で21施設(定員計1621人)ある。【関連記事】

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