人口増加のまちでなぜ?市内唯一の産婦人科が分娩中止 71歳院長「自身の体力的な問題」


滋賀県守山市内で唯一の産婦人科医院が10月末で、分娩(ぶんべん=お産)の取り扱いを中止する。担当する院長の高齢や分娩の取扱数の減少が原因という。妊婦健診など外来診療は継続する方針だが、市内で分娩を行う医療機関が姿を消すことになる。

 坂井産婦人科(同市古高町)は1997年8月開業。常勤を含め助産師約10人の態勢で、多い時に年間300~400件の分娩件数があったが、近年は同150件程度にとどまっていた。坂井千秋院長(71)は分娩中止の理由を「自身の体力的な問題だ。妊産婦のメンタルヘルスの重要性も増しており、助産師の人手がいる。それに見合うだけの分娩件数がないと経営的にしんどい」と話す。受診する妊婦らは他院へ紹介済みという。県は周産期医療の提供体制を県内4地域に区分しており、守山市がある湖南・甲賀ブロックには、坂井産婦人科を除き分娩を行う医療機関・助産所13カ所ある。県健康寿命推進課は「近隣の医療機関でカバーできるので、大きな影響はない」としている。守山市すこやか生活課は「分娩を行う医療機関がなくなることは妊婦に安心感がなくなり、課題と考える。開業の意向のある産婦人科医師に関する情報収集などを進めたい」と話す。守山市は京都や大阪のベッドタウンとして人口増加が続いている。人口は約8万4千人で過去10年間で約6千人増えた。出生件数は2018年が778件で近年、おおむね800件台で推移している。

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