浜松医療センター(浜松市)は二輪車部品メーカーのヤマト製作所(同市)と組み、外科手術をする医療従事者をウイルスの感染から守る防護器具を開発した。新型コロナウイルスの患者らの外科手術が必要な場合に活用するという。医療用ヘルメットとフィルター付きの管をつなぐ「アタッチメント」と呼ぶ器具を開発した。管から取り込んだ外部の空気をフィルター経由で浄化し、ウイルスを吸い込まないようにできる。人工関節の手術に使うヘルメット、全身麻酔時の呼吸のために使っている管を使った。いずれも一般的な医療機関で調達できる資材という。手術時にヘルメットと防護服を身につけるだけでは、ヘルメット内の空気を循環させればウイルスを吸い込んでしまう恐れがあった。特にウイルス感染する患者では血液などから空気中に飛散する恐れが高いという。高性能な「N95」のマスクでは装着者が息苦しくなる課題があった。既存品を使って防護機能を高められないかと浜松医療センターが製品開発を提案し、ヤマト製作所が設計・開発した。二輪車用エアクリーナーなどに持つノウハウを生かし、ナイロン製で軽いアタッチメントを3Dプリンターで作った。浜松医療センターは既に5セットを導入した。新型コロナの患者が別の疾患で外科手術が必要になった場合などで使える態勢が整ったという。海野直樹院長は「需要のある製品だと思う。世界中に広められれば」と話す。ヤマト製作所も販売のために代理店などと連携していきたいとしている。