古民家改装「みとり」施設開設 コロナ禍でも面会自由 浜松


浜松市中区鴨江の住宅街に、終末期を迎えた高齢者向けの「みとり」を専門とした施設が誕生した。自身の経験などを教訓に、介護福祉士の岸森尚子社長(58)と看護師の堀口南歩さん(25)母娘が一念発起して古民家を改修し、テラスの増築などで開放的な居住空間を創出した。コロナ禍でも家族の面会を可能にし、「自宅のような安らぎと誰かがそばにいる安心感を抱き、穏やかな形で最期を迎えてほしい」と願う。
 施設はターミナルケアホーム天寿。複数の関係者によると、みとることに特化して受け入れる施設は全国的にも珍しいという。
 木造平屋の古民家を買い取って耐震化など改装を施し、計8人分の居室と、みとり用の1部屋を整えた。隣り合う居室間は開閉式にし、不安や孤独感を和らげる。中庭にヒノキのチップを敷き詰め、テラスや縁側からは梅の木を眺められる。
 感染防止策を徹底することで面会制限は設けない。和室のみとり室では、家族の宿泊や食事を可能にした。1カ月の利用は税込み計28万6千円で、自宅への同行サービスなどを別料金で用意する。
 岸森社長は18年前に父親をみとれず、「同じ後悔をしてほしくない」との一心で資格を取り、介護の仕事に従事してきた。念願の新施設は、三女の堀口さんを含めた看護師計6人とともに24時間態勢を取る。
 前の職場で終末期ケアにも携わってきた堀口さんは「家族の精神的、肉体的負担の軽減にもなると思う。心を込めて寄り添いたい」と話す。

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