医学部進学を目指す高校生に、地域における医師の役割を知ってもらうセミナーが30日、佐賀市のグランデはがくれで開かれた。セミナーには高校生をはじめ、保護者や高校の進路指導教諭ら約50人が集まり、自治医大や佐賀大医学部を卒業しへき地医療に携わった経験を持つ現役医師の講演に聞き入った。セミナーは、自治医大と佐賀大医学部の合同説明会も兼ね、佐賀県が今年初めて企画した。両大学OBの若手医師による仕事内容の紹介のほか、両大学医学部への個別相談会などもあった。講演では、鹿島高から自治医大に進み、現在は国立病院機構嬉野医療センターで救急医を務める小野原貴之さんが「私が考える医師像とは」のテーマで話した。小野原さんは、唐津市鎮西町の加唐島での診療医時代を振り返り「『逃げない』『断らない』との思いで地域を守る覚悟を持った」と語った。また、医師としてのキャリア形成について小野原さんは「県が非常に協力的で、医学博士をはじめさまざまな資格取得が、この佐賀では可能」と、佐賀で働く環境の良さをアピールした。佐賀県健康福祉部医務課の前山恵士郎・医療人材政策室長は「医の道を志す若い人が、できるだけ地域における医師の重要性を分かってほしい」と、セミナー開催の意義を強調した。(山内克也)