持病診察後、コロナ感染判明に苦慮


福井県内で新型コロナウイルス第2波の感染拡大が続く中、県内の病院、診療所では持病などでの診察や入院の後に患者の感染が判明するケースが出始めている。医師や看護師のPCR検査などのため数日間、外来診療をストップした病院もあった。基幹病院のような十分な体制がない中、各医療機関は不安を抱えながらも「患者を拒むことはできない」と、地域の医療を支え続けている。県によると、第2波以降の感染者110人中、60歳以上は61人。このうち基礎疾患があるのは約6割の36人で、日常的に地域の医療機関に通っていた人も一定程度いたとみられている。県内のある病院は入院したばかりの患者の陽性が27日に判明し、同日午後から外来診療を休止した。当該の患者は転院し、休止中に院内を消毒し、医師や看護師らスタッフ、入院患者はPCR検査を受けた。28日までに全員の陰性が確認されたとして、31日に外来診療を再開した。病院の理事長によると、普段の外来患者は約6~7割が高齢者。地域医療を支える立場から「外来診療の休止は苦渋の選択だったが、何かあってからでは遅い」と決断の理由を説明した。「発熱、肺炎の症状がある高齢者は普段から多く、いつコロナの患者が来るかは分からない。病院側も患者側もお互いに感染症対策に十分注意することが大切」と訴える。一方で「自分たちの病院には基幹病院のようなコロナに対する十分な体制や設備があるわけではない。とはいえ、コロナを理由に『診ません』とも言えない。心配は尽きない」と苦しい胸の内を明かした。ある診療所では、普段から持病の診察を受けていた人の感染が後に判明した。診療所には発熱外来用の診察室を設けていたが、診察時はこの患者に熱はなかった。診療所の経営者は「診察時点でコロナとは判断できない。医師や看護師が日頃から行動に気を付けて対策をしていても、感染すれば医療は止まる。あらためて恐怖を感じた」。すぐに医師や看護師がPCR検査を受け、全員の陰性が確認された。誹謗(ひぼう)中傷への恐れも口にする。「どれだけ対策をとっても通院患者の感染が分かればほかの患者が来なくなる恐れがある。怖いのは世間」と心配する。コロナやインフルエンザの検査は屋外ですべきか、いっそすべての診察を屋外ですべきか。感染を防ぎながら地域医療を支える“解決策”は見つからないとしながらも「医療者の使命として、来てくれる患者を拒むことはできない」と話した。

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