《コロナ現場発》第2波備え想定訓練 策進む介護現場


身体接触が多く、新型コロナウイルス予防が難しいとされる高齢者施設。集団感染につながるリスクも高いため第2波への備えが急がれるが、施設によって取り組みに差があるのが現状だ。各事業所が有効な対策を模索する中、前橋市の介護施設は入居者の感染が疑われる場合のシミュレーション訓練を始めた。◎他施設と連携目指す 「新たに入居された方のご家族が陽性になり、本人も濃厚接触者となりました」。7月21日、前橋市下大島町の介護老人保健施設「けやき苑(えん)」で、入居者の「感染疑い」を想定した実地訓練が行われた。指示役の職員が状況と対応を説明。職員4人にそれぞれ業務を振り分けた。 看護師が防護服を着用する間、別の職員が隔離部屋を準備。フロアは赤・黄・緑3色のテープと張り紙で、防護服の着用が必須の区域と着脱する区域、不要な区域を明示した。看護師が、いすに座っていた入居者役の職員に声を掛け、隔離部屋へと誘導した。 接触者を最小限に抑えるため、感染した入居者の対応は担当者を1人に絞って実施。担当者役の看護師は「防護服では自分の顔が相手に見えないため、入居者に不安を与えてしまう」と、普段と異なる対応の必要性を感じたという。 訓練内容は、同施設の看護師長らが考案した。対応の仕方を徹底するため、今後も繰り返し開催する。服部徳昭施設長(65)は「知識を実践に移していくことが大切」と説明する。県老人保健施設協会の理事長も務めており、同協会などを通じて他施設とも連携を図りたい考え。撮影した訓練の様子を共有して参考にしてもらうとともに、意見を集めて内容のさらなる充実に努める予定だ。 クラスター(感染者集団)が発生した伊勢崎市内の事業者も危機感は強い。ぐんま中央介護福祉協同組合(同市中央町)には、会員から感染症対策の相談が寄せられている。常勤医がいない施設も多く、サービス内容も多様なため、各事業所がそれぞれ最適な対策を考えていく必要があるという。原功和副理事長(41)は「情報量の差が、対策の差につながってしまう。特に人的資源が少ない小規模施設には手厚い支援が必要」と訴える。(金子雄飛)

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