介護職員の融通、3割協力 受け入れ側の態勢構築急務


高齢者入所施設で新型コロナウイルスの感染者が発生し介護職員が不足した場合に備えて、別の施設から職員を派遣する制度を島根県が設け、県内施設の3分の1にあたる95施設が協力することを決めた。職員を融通し合い、介護サービスを維持する仕組みが整いつつある一方で、受け入れ側施設の事業継続計画(BCP)の策定や派遣職員の業務調整の体制構築などが急務となっている。制度は、高齢者入所施設で新型コロナ患者が発生し、感染が疑われる職員の自宅待機などで介護サービスの提供を続けることが難しくなった場合に、他の施設から職員を派遣する仕組み。7月に募集を始め、95施設が登録し、介護職員や看護師、調理員など計178人の応援が確保できた。このほど出雲市であった派遣職員の研修会には、約80人が参加。島根大医学部付属病院の感染症に詳しい医師と看護師が、防護服の着脱の仕方や感染者と非感染者がいる区域を分ける「ゾーニング」の注意点を説明したほか、感染者発生を見据えた訓練を施設ごとに行う必要があると強調した。県は、派遣職員用の手引きで、原則として感染者や濃厚接触者がいる場所とは別の区域で働くことを説明。受け入れ施設に求められることとして、新型コロナに対応したBCPの策定▽派遣職員の業務調整をする職員の配置▽利用者の主治医との具体的な連携方法の確認-などを挙げた。参加した雲南市木次町東日登の特別養護老人ホームさくら苑の木次順一施設統括部長は「ゾーニングの再確認も含め、職員派遣を受ける場合の態勢を施設内で確認しないといけない」と話した。県高齢者福祉課の6月22時点の調査では、302施設のうち15施設が、新型コロナに対応したBCPを策定済みと回答。多くの施設が策定中、今後策定を検討すると回答した。同課の曳野晃夫課長は「BCPがあればゾーニングがすぐにでき、派遣要請をする際の目安にもなる。早急に策定してほしい」と話した。策定に関し、不明点があれば同課で相談を受け付けるとした。

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