新型コロナ感染、重症化で中和抗体が増加 陰性後も肺炎継続か 神戸大が研究


神戸大学の研究グループは12日、新型コロナウイルス感染症の重症度が高いほど、ウイルスを攻撃する「中和抗体」が多いと発表した。重症患者は無症状者に比べ、最大200倍以上だった。一方、抗体の力でウイルスを排除した後も、細胞から分泌される「サイトカイン」が過剰放出され、肺炎が長引くことも分かったという。同大学は、4~6月に兵庫県立加古川医療センター(加古川市)に入院した患者12人の血清を解析した。重症者が10人で、うち7人は人工呼吸が必要な重篤な患者(3人は死亡)。ほかに軽症と無症状の各1人を含め、全員から中和抗体が検出された。体内でウイルスが増殖し、重症度が高いほど抗体量が多い傾向になることも分かった。同抗体が増えればPCR検査で陰性化するが、肺炎は続くとみられる。再感染はしにくいと予測されるが、今後の調査が必要という。重症化を防ぐためには、高齢者や基礎疾患のある患者に対して、ウイルスが増殖する早期に中和抗体を含む血漿や、抗ウイルス剤を投与することなどを提唱した。神戸大大学院医学研究科付属感染症センター長の森康子教授は「抗ウイルス剤などの投与は、重症化後にするのではなく、感染初期に始めることが重要ではないか」と述べた。(井川朋宏)

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