洗髪の呼吸負荷に男女差、英科学誌に論文 県立保健医療大大学院・高畑さん


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 県立保健医療大(山形市、前田邦彦学長)は4日、大学院保健医療学研究科博士後期課程1年の高畑未樹さん(25)=青森市出身=の論文が、英国科学誌「Scientific Reports(サイエンティフィックレポーツ)」で紹介されたと発表した。洗髪する際の動作で、男女間に呼吸負荷の差があることを科学的に証明した。同大の学生の研究成果が、同誌で報告されたのは初めて。

 洗髪は腕と肩回りの筋肉を使う上肢の反復動作で、高齢者や呼吸器疾患がある人の場合、激しい動きにより呼吸困難のような症状を引き起こすことがあるとされる。作業療法士の資格を有する高畑さんは2018年夏から19年秋にかけ、洗髪動作に関する呼吸負荷の研究を進めてきた。

 研究は同大の学生ら20代の男女33人(男16人、女17人)を対象に行った。両手と利き手だけの方法に「速い」(1分間に160回)「遅い」(同60回)の速度を組み合わせ、4種類の動作を試行。酸素摂取量や呼吸数などの呼吸循環指標を測定した。

 その結果、1分間当たりの酸素摂取量はいずれの組み合わせも男性が高く、特に両手での速い動きでは男性が平均351.3ミリリットルで、女性の同258.1ミリリットルを大きく上回った。1分間当たりの呼吸数はどの組み合わせも女性が多く、両手での速い動きでは女性が平均24.4回で、男性は同19.2回。「女性の方が呼吸効率が悪く、呼吸困難の症状を引き起こしやすい」との結論を導いた。

 同誌はネイチャー・リサーチ社がオンラインで刊行している学術誌。同大教授陣の推薦があり、高畑さんが20年2月に投稿し、7月下旬に受理。今回の研究成果の報告は世界初とされ、4日に公開となった。

 データ集計で高畑さんに助言した同大作業療法学科の佐竹真次教授は「世界的に権威ある学術誌で、大変名誉なこと」と評価した。高畑さんは「日常動作に焦点を当てた研究で、成果を認めてもらえてうれしい。今後は高齢者や呼吸器疾患の患者を対象にデータを集め、退院後の在宅生活などで動作指導に役立てたい」としている。

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