ブレスト・アウェアネスで乳がん発見


10月は乳がんの早期発見や検診の重要性を啓発する「ピンクリボン月間」。日頃から自分の乳房の状態に関心を持つことを推奨する「ブレスト・アウェアネス」というキーワードをご存じだろうか。従来の「しこりを見つけるための自己触診」ではなく、より気軽に「乳房の変化に気付く習慣づけ」を目指す考え方だという。福井県済生会病院(福井市)の専門医と認定看護師に、その背景やポイントを聞いた。ブレスト・アウェアネスは、直訳すると「乳房(胸)を意識したり気付いたりすること」。日本乳癌(がん)検診学会などが提唱し始めた啓発ワードだ。同学会の理事で、県済生会病院・女性診療センター長の笠原善郎副院長は「これまで『しこりを見つけましょう』と推奨されてきた自己触診は、敬遠して続かない人も少なくない。脂肪や肋骨(ろっこつ)との違いが分かりにくく効果が乏しい上、過剰な心配も生みかねない」と説明。「ブレスト・アウェアネスは月に1回程度、乳房を意識する生活習慣を身に付けてもらうのが目的」と話す。提唱されている基本行動は▽自分の乳房を見て触って感じる▽乳房の変形やしこり、えくぼのようなへこみ、乳頭から血の混じった分泌物に気付く▽変化に気付いたらすぐ受診する▽40歳になったら継続的にマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)による乳がん検診を受ける―の4項目。乳がん看護認定看護師の村井奈保美さんによると、入浴時などに指の腹の部分を滑らせるようにして、なでながら胸を触るのがこつだ。「つまんだり強く押したりする必要はありません。胸全体の状態を感じ取れればOKです」2年に1回のマンモグラフィー検診で一度は異常なしの結果が出ても、安心しすぎてはいけないという。笠原副院長は「検診と検診の間も、変化に気付くことが大切。ブレスト・アウェアネスを習慣化できれば、乳がんの早期発見につながる」と訴える。

関連記事

ページ上部へ戻る