認知症グループホーム8割人手不足懸念 新型コロナ影響


岐阜県内の認知症グループホームの8割が、新型コロナウイルスの感染者や濃厚接触者が出た場合、深刻な人手不足になることを懸念していることがアンケート調査で分かった。調査を行ったNPO法人ぎふ福祉サービス利用者センター「びーすけっと」(各務原市)が4日までに明らかにした。背景には介護現場の慢性的な人手不足がある。グループホームは小規模な施設が多く、1人でも職員が欠けると運営が継続できない恐れがある。共同生活をしており、クラスター(感染者集団)も発生しやすい。施設側は行政などに支援を求めている。びーすけっと理事長の飯尾良英中部学院大教授は「介護現場はまったくゆとりがない。新型コロナがその課題を浮き彫りにした。新型コロナ対策で職員の負担は増しており、さらに離職者、休職者が増える恐れもある」と指摘する。調査は6月、県内の認知症グループホーム286カ所を対象に郵送で実施。200件の回答があった。回答率は70・0%。事業所内で新型コロナの感染者、濃厚接触者が出た場合に心配なことについて、84・5%が「職員が不足すること」と回答。「職員の不安が大きくなること」も86・5%。出勤を避ける職員も想定され、多くの施設がマンパワーの確保を懸念している。介護業界はもともと人手不足感が強い。岐阜労働局によると、今年6月の県内の有効求人倍率は6カ月連続ダウンの1・27倍。一方、介護関連の有効求人倍率は5・35倍と高い水準で推移している。調査には「事業所内で感染者が出た場合、欠勤したいと申し出る職員が多くいる。感染者が出れば大変な事態になる」「1人でも感染すれば人員不足になり、利用者支援が難しくなる」との声が寄せられており、行政への支援を求める意見もある。古田肇知事は7月31日の記者会見で、高齢者や障害者の入所施設でクラスターが発生しやすいとした上で、「発生したときに地域の医療機関、他の施設の応援を得られるような仕組みを検討している」と話した。【県内の認知症グループホーム】 認知症の患者は環境の変化に弱いとされ、住み慣れた地域で顔なじみの人たちと共同生活をするのがグループホームのケアの基本。9人1ユニットで要支援2以上の人が対象。個室のほかに居間や食堂、浴室などを備える。県内には約290施設あり、利用者は約4400人。地域に密着し、規模の小さい施設が多い。大野郡白川村を除く全市町村にある。職員数は約4600人とされる。

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