集団健診 再開進む コロナで延期の栃木県内市町 対策徹底、受診呼び掛け


新型コロナウイルス感染症の影響で多くの県内市町で中止や延期となったがん検診などの集団健診に、再開の動きが広がっている。下野新聞社のまとめによると、県内全25市町のうち真岡、茂木など5市町が6月から、宇都宮など15市町は7月から再開。一方で感染リスクを考慮し、那須塩原市は4月の開始予定を10月に延期した。受診率の低下は病気の発見の遅れや悪化を招く恐れがある。各市町は感染対策を徹底しており、計画的な受診を呼び掛けている。がんなどの早期発見を目的に、県内市町が成人を対象に実施する健診の内容は、がん検診や特定健診などがある。自治体が費用を助成し、対象者は無料か低額で受けられる。がん検診には胃がんや肺がん、乳がんなどの種類がある。個人が医療機関などで受ける個別健診とは異なり、日時を決めて住民を集める集団健診は、地域の保健センターや体育館などが会場となる。密集や密接、密閉の「3密」が避けられない状況も懸念され、緊急事態宣言下の4、5月は全市町で実施されなかった。各市町で再開の動きが広がるものの、時期や代替日程で対応が分かれている。7月に再開した鹿沼市は4~6月の12回を中止し、新たに10回分を追加した。3密解消のため260人だった定員を120人へ減らす会場もある。担当者は「感染リスクから受診控えも想定され、受診率の低下は避けられない」としつつ、「今後は定員を増やすなどニーズに応えていきたい」としている。那須塩原市は感染リスクを考慮し、4~9月の93回を中止に。がん検診だけで約1万5千人に影響が出るという。10~12月に40回実施する予定だが、担当者は「全員の受け入れは難しい状況」として、個別健診などの受診を呼び掛けている。国は通達で、受診できなかった人の受診機会の確保に努めるよう、実施主体の市町村に求めている。県健康増進課は「地域の実情に応じて感染対策を整え、受診の機会を設けてほしい」としている。

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