会津若松市などは今月中にも、高齢者らの見守り強化に向け、薬の入った引き出しを開閉した記録が離れて暮らす家族や介護者に共有される「スマート薬箱」の実証事業を始める。持病があり、薬を飲んでいる高齢者が多いことに着目した取り組み。薬を飲む時間になると引き出しが光って知らせる機能もあり、飲み忘れ防止にも役立つという。スマート薬箱は、電子部品メーカーSMK(東京都)が来年度の商品化を目指して開発を進めている製品。実証事業のイメージは【図】の通り。薬箱には引き出しが四つあり、それぞれ別の色の発光ダイオード(LED)が取り付けられている。利用者は朝、昼、夜、寝る前など服用する時間別に引き出しに薬を収納する。時間になるとLEDが光ったり、音が鳴ったりして知らせ、薬の飲み忘れを防ぐ。引き出しを開け閉めすると自動で検知、履歴が記録される。記録は専用ウェブサイトに表示され、薬剤師の服薬指導に役立てられるほか、家族らが安否確認に活用できる。長時間、開閉がなければ家族らにメールで知らせる機能もある。安否を確認できない場合、家族らが総合警備業ALSOK福島(郡山市)に依頼すれば警備員が駆け付ける。SMKによると、薬箱の開閉を記録し、高齢者らの見守りに活用するサービスは全国でも珍しいという。同社は「服薬の悩みに寄り添い、改善を支援するのに加え、安否確認と連携したサービスの提供により、利用者本人と家族に安心してもらえる」と利点を挙げる。会津若松市は、湊地区の住民に地域の情報を発信するため、希望者にタブレット端末を配っている。実証事業は湊地区の住民が対象で、この端末にスマート薬箱の情報を表示する。市はNPO法人「みんなと湊まちづくりネットワーク」と連携して住民に参加を呼びかける。市の担当者は「実証事業で効果や使いやすさなどを確認し、本格導入につなげたい」としている。