梅肉エキスが「高血圧を予防」 和歌山で研究グループが発表、心疾患の合併症抑制も


テンプル大学(米国)や大阪河﨑リハビリテーション大学(大阪府貝塚市)、和歌山工業高等専門学校(和歌山県御坊市)の研究グループは13日、梅肉エキスが高血圧予防や心血管の合併症を防ぐことに有効であることが、動物実験で確認されたと発表した。テンプル大学の江口暁教授や大阪河﨑リハビリテーション大学の宇都宮洋才教授らが和歌山市の県自治会館で記者会見を開いた。江口教授は、高血圧の人は高い確率で心血管の合併症が進行しやすいとした上で「市場に出回っている薬は血圧を下げる効果はあるが、合併症は防ぎきれないという問題がある」と述べた。高血圧と心疾患合併症の両方を抑制する方法がないか、研究を進めているという。江口教授や宇都宮教授らは2002年、梅肉エキスが、高血圧を引き起こす内分泌ホルモンである「アンジオテンシンⅡ」の影響を抑制することが分かったと発表。一方、他のさまざまな果物エキスでも実験したが、梅肉エキスのような効果は見られなかった。■動物実験で確認これを受け今回、ネズミを使って梅肉エキスの効果を検証した。「アンジオテンシンⅡ」を投与したネズミのうち、通常の水で育てたものは高血圧となったが、梅肉エキスを0・1%添加した水で育てたものは正常値を保った。合併症については、梅肉エキスを摂取させたネズミは、血管周辺の障害や炎症の予防が確認された。また、高血圧は心臓が肥大し心筋梗塞につながるとされるが、心肥大についても抑制が認められた。一方で、梅肉エキスを摂取させても、体重減少などの副作用は観察されなかったという。江口教授は「特定の高血圧の人は、血圧を上げる因子と血管障害を起こす因子を持っているので、血圧だけを下げていては高血圧の治療にはならず、血管障害も抑制する薬があればいいと考えている。梅や梅肉エキスのどの成分が高血圧や血管障害を抑制するのかを突き詰めたい」と話した。今後は大型の動物や人間でも効果を検証できるかが課題とした。梅肉エキスは梅を加熱濃縮したもので、江口教授によると、17世紀ごろから食べられていた日本特有の健康食品。宇都宮教授は梅干しでも一定の効果が期待できるとし「梅肉エキスでも梅干しでも、生活の中にいかに取り込むかだ」と話した。今回の研究結果の論文は13日付で、日本高血圧学会専門誌に掲載された。

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