国産初の手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」による初の大腸がんの手術が8日、札幌市中央区の札幌医科大学病院で行われた。執刀した竹政伊知朗教授(57)は「日本製のロボットで、がんを完全かつ安全に切除できた。患者さんに、高度な医療の選択肢が増えた」と意義を語った。ヒノトリはメディカロイド(神戸市)が開発。2020年12月から国内で前立腺がんなど泌尿器科の手術が保険診療で始まった。現在、国内で30台以上が稼働し、約500例の手術実績がある。今年10月、消化器外科と婦人科の手術にも適用が拡大され、近く保険診療が認められる見通し。札医大病院は10月、道内の医療機関で初めてヒノトリを導入。竹政教授は全国でただ1人、学会が認定したヒノトリによる大腸がん手術の指導医で、第1号の手術を行った。患者は、結腸がんの60代女性。竹政教授が手術台から離れたロボットの操縦席に座り、内視鏡カメラによって患者の体内を拡大した立体映像を見ながら、両手と両足で操作。するとロボット本体から手術台の患者に伸びた4本の腕が始動。腕の先端に装着された内視鏡やメスや鉗子(かん し)などが、腹部の小さな穴から入った体内で自在に動き、手術が進んだ。約2時間半で終了した。患者は順調なら1週間から10日程度で退院できる見込み。【関連記事】⇒札幌医科大が新キャンパス公開 19日に落成記念式典