県央研究所 唾液PCR検査開始 燕 出張再開へ企業から依頼


新潟県燕市小高にある民間研究検査機関の「一般社団法人県央研究所」は、唾液を用いた新型コロナウイルスのPCR検査=写真はイメージ=の受託を始めた。再流行が懸念される中、全国各地と往来のある地元企業などから、問い合わせや依頼が寄せられている。 PCR検査は、今回のウイルス禍で一般的に知られるようになったが、検査機関にとっては特殊なものではない。同研究所でも十数年前から、ノロウイルスや大腸菌などの検査に広く活用してきた。現在5台の検査装置を保有している。 茨木和雄理事長は「厚生労働省からPCR検査拡大の要請があったことを受け、第2波に備えて体制を整えた」と説明する。同研究所などによると、県内の民間検査機関が新型ウイルスのPCR検査を行うのは初めて。医療機関や介護施設などからの依頼を想定し、6月下旬に検査開始を発表した。現在、週1回のペースで対応している。 従来の鼻の奥の粘液を採取する方法よりも医療従事者の感染リスクが低い、唾液を検体にして調べる。厚労省は6月上旬に、唾液を用いたPCR検査を認め、公的医療保険の適用対象とする方針を出している。 検体の前処理から判定が出るまでの時間は1時間程度で、1日最大94件の検査に対応できる。 検査開始に当たり、同研究所は、国のマニュアルに沿い、所内に検体を持ち込む際の厳重梱包(こんぽう)や専用エレベーターで運ぶことなど、感染防護策を取った。 県央地域は産業集積地のため、感染拡大が心配な地域への出張時や転勤時などに使いたいという企業からや、医療機関を通じた問い合わせなどが寄せられている。 同研究所としても、緊急事態宣言の解除後、自粛していた渉外担当の職員らの県外出張を6月から再開した。この間、出張から戻った後は、近くに借りた建物で一定期間勤務してもらい、陰性確認のためのPCR検査を随時行うなどの対応をしてきたという。 日本のPCR検査の実施は諸外国と比べて立ち遅れが指摘されており、体制充実が求められている。 茨木理事長は「検査機関が増えることにより、地域の安心にもつながれば」と話す。

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