「森林療法」の先駆的提唱者で東京農業大教授の上原巌さん(55)=北佐久郡軽井沢町、長野市出身=が、一般社団法人「日本森林技術協会」(東京)が森林・林業振興に功績があった人に贈る本年度の「第65回森林技術賞」を受賞した。身近な森林を活用した健康増進の普及活動は近年、アジアや欧州へと拡大。森林での保健休養活動の促進に貢献したことが評価された。
上原さんが1999年に提唱した森林療法は、リハビリや作業療法などで森林を活用した健康増進の試み。森林内で散策したり、間伐作業をしたりして過ごすことで心の癒やしが得られ、生活習慣予防など、病気になりにくい体づくりにもつなげることができる。
県内を含む全国各地で、森林整備や社会福祉に取り組む団体などに研修会を通じて森林療法を普及。最近は米国や欧州、中国、韓国の大学などで講師として招かれることが増えてきたという。森林療法関連の自身の著作は中国、韓国でも翻訳された。
受賞について、上原さんは「森林療法がやっと公的に認められた」と喜ぶ。お金をかけず、どこの森林でもできるのが森林療法の特長だといい「体調が悪くなったら森林に行くということを定着させたい。今後は特に、健康を保つ方法として高齢者にも普及させたい」と話している。
(7月4日)