埼玉県立大が保健所応援 「保健師」有資格の教授ら 業務逼迫で派遣


公立大学法人の埼玉県立大学(埼玉県越谷市三野宮、田中滋理事長)は、保健師資格を有する教員13人の県保健所への応援派遣を始めた。緊急事態宣言下、新型コロナウイルスを巡る保健所業務の逼迫(ひっぱく)に対応するためだ。入試や年度末が重なるが、「日ごろ研究や学生の研修でお世話になっており、貢献できれば」と3月末まで続ける。【武田良敬】応援に当たるのは、保健医療福祉学部・看護学科の教授4人、准教授5人、助教3人、非常勤助手1人。いずれも保健師の国家資格を持ち、公衆衛生や保健師養成講座を担当。2020年末に県からの協力願いを受け、学内の公募に志願した。12月30日と1月2日に計4人が出動したのを皮切りに、同15日以降、9人が加わった。授業などをやり繰りした上で、土日を含めて週1日の割合で、感染拡大が著しい草加、朝霞、南部、狭山の4保健所に交代で出勤。市民の健康相談や感染者の疫学調査、自宅療養者の健康観察といった電話による業務を手伝う。県保健医療政策課によると、2月現在で県直轄13保健所への保健師の応援人員は県庁や市町からの計23人(通常時の保健師の全体数は計117人)。これに加えて、県立大は交代しながら常時2~3人を派遣しており、他の私立大3校からも各1人が派遣されている。「県からは交通費と薄謝しか出せないが、ありがたい」と同課の担当者は言う。県立大の関美雪教授(公衆衛生看護学専攻)は「現場では電話にかかりきり」という。「保健師は、感染症法などの法体系や看護師としての医学知識を頭に置き、患者さんの症状を的確に把握・判断する技術が求められる。最初は口が重い方もいるが、『健康を守るため』と相談に乗れば話してもらえる。感染経路や濃厚接触者の質問も含めて、患者1人につき1時間以上かかる場合も多い」と言う。看護学科(学生数572人)の鈴木幸子学科長は「みんな使命感から手を挙げてくれた。経験を積んで、今後の教育にも生かしてほしい」と話している。

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