抗体検査結果、5月1日にも公表 東京と東北での献血活用


政府は、新型コロナウイルスの感染実態の把握につなげるための抗体検査を始めた。日本赤十字社(日赤)が献血者から研究利用への同意を得て献血血液の一部を抗体検査に活用。東京都内と東北地方で500検体ずつ今後も複数回採取する。これを受け、政府は5月1日にも初回の結果を公表する方向で調整している。抗体は、体内に侵入したウイルスなどから体を守るために作られる物質。血液中に含まれる抗体の有無を調べることで、その人の過去の感染歴が分かる。日赤は22日、厚生労働省などからの協力依頼に基づき、「抗体検査キット」の信頼性を評価する研究を始めると発表。日赤によると、感染者数の多い東京と、少ない東北地方を対象地域に選んだ。東京では22~23日に血液を採取済みで、東北は27~28日に実施する予定だ。菅義偉官房長官は23日の記者会見で「現時点で検査キットの性能に関する評価は不確実な段階であり、(感染歴の)結果は献血者にはお知らせしない」と述べた。新型コロナを巡っては、感染の有無を調べるPCR検査の対象とならないまま回復する軽症者や無症状の人も多い。地域ごとに感染がどの程度広がっているのかはつかみ切れていない。世界的に検査キットは複数開発されているが、精度に課題があるとの指摘もある。このため政府は日赤の協力を得て性能チェックを行うと同時に、感染の広がりを推計する疫学調査につなげる考えだ。抽出調査は東京と東北で繰り返して実施。抗体保有者の増え方から、流行予測にも活用する方向だ。【堀和彦、横田愛、秋山信一】

関連記事

ページ上部へ戻る