エーテンラボ、アプリで糖尿病対策の臨床研究


生活習慣改善アプリを手掛けるエーテンラボ(東京・渋谷)は、糖尿病患者らの生活習慣をスマートフォンアプリで改善するための臨床研究を始めた。患者同士が励まし合うことで継続して運動を続けられるようにする。データを蓄積し、将来的には治療効果を認められた「デジタル薬」とすることを目指す。エーテンラボのスマホアプリ「みんチャレ」を糖尿病患者やリスクの高い人に使ってもらう。2グループに分けた40代から70代の男女60人が3カ月間ウオーキングに取り組む。アプリを使ったグループと使っていないグループとで、血液中の指標「HbA1c(ヘモグロビンA1c)」の改善度合いを比較する。みんチャレは匿名の参加者が5人1組でチームを作り、アプリ内で日々の運動や食事の内容を投稿して互いに励まし合う仕組み。通常は1チームへの参加は無料。月額500円の有料会員は自分の取り組みを長期間記録して見返すことができる。糖尿病の治療には食事や運動などの生活習慣の改善が重要とされる。しかし糖尿病やその予備軍と診断を受けた人は、身近に同じ病気を持つ人がいないことや周囲に明かしにくいことが多い。エーテンラボが糖尿病患者312人に聞いた調査では、4割の人が「医師や医療関係者以外で身近に治療に協力してくれる人がいない」と回答した。エーテンラボの長坂剛代表は「新型コロナウイルス禍で患者が病院に長い時間滞在することが難しくなっており、糖尿病治療に取り組む人の孤独の問題が深刻になっている」と指摘する。生活習慣を改善するにはアプリで記録をつけながら継続して取り組むほか、同じ目標を持つ患者同士で支え合うことが有効だという。研究を通じ、同社は国から治療効果などを認められた「デジタル薬」として普及させることを狙う。

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