スウェーデンのカロリンスカ研究所は5日、2020年のノーベル医学生理学賞をC型肝炎ウイルス(HCV)の発見に貢献した米国立衛生研究所(NIH)のハーベイ・オルター名誉研究員(85)、チャールズ・ライス米ロックフェラー大教授(68)、英国生まれでカナダ・アルバータ大のマイケル・ホートン教授の3人に授与すると発表した。
カロリンスカ研究所は授賞理由で「発見は肝炎の原因を明らかにし、何百万の命を救う薬品の開発を可能にした」とたたえた。
肝炎は1960年代にウイルス感染が原因の一つと分かり、A型、B型の肝炎ウイルスが発見された。C型肝炎は血液を介して感染し、感染状態が続くと慢性肝炎から肝硬変、肝がんに進むことが多いが、原因は長く不明のままだった。
オルター氏は70年代、輸血に関連する肝炎の研究で、未知のウイルスの関与を発見。ホートン教授は89年、感染したチンパンジーの血液からウイルスの遺伝子断片を見つけ、HCVと名付けた。さらにライス教授は、HCVがC型肝炎を引き起こすことを実験で証明した。
これらの発見をきっかけに、輸血用血液の検査や、ウイルスに直接作用する薬の開発が進展。近年では95%の患者で、ウイルスを体内から排除できるようになった。 (C)時事通信社