京大がコロナ対策研究に学内助成 11件を採択


京都大(京都市左京区)は、新型コロナウイルス対策の研究を支援する学内助成プログラムを始めた。感染予防効果のある食品サプリメントの開発や、パンデミック(世界的な流行)状況における自閉症者へのケアのあり方の研究など11件のプロジェクトを採択した。総額1億1500万円を助成し、研究を後押しする。採択されたのは、ウイルス検査を簡単にできる方法の開発を目指す「現場使用可能な環境中の新型コロナウイルス検出システムの構築」(代表者=保川清・農学研究科教授)や、在宅での採血検査を可能にする手法の確立(同=稲垣暢也・医学研究科教授)など。半数ほどが人文社会系分野。エコツーリズムが打撃を受けたアフリカの人たちがウェブサービスで素材を提供することで収入を得られる仕組み作り(同=古沢拓郎・アジア・アフリカ地域研究研究科教授)や、企業価値をどのように向上させるかを考える「ポストコロナ社会における『企業価値』の探索」(同=砂川伸幸・経営管理大学院教授)なども採択された。京大産官学連携本部によると、国の予算に基づく京大の事業で、1件当たり約300万~1500万円を助成する。期間は来年8月まで。学内から25件の応募があり、教員の審査で11件に絞った。来秋にも、成果を発表する報告会を開く。同本部の担当者は「感染症の終息に貢献する研究だけでなく、コロナ時代の社会貢献につながるような提言もできれば」と話す。◇京都大大学院総合生存学館は1日、地球規模の課題や社会変革が必要な課題の解決を目指す「ソーシャルイノベーションセンター」を9月1日付で設立したと発表した。学内の研究者や学外の企業などとの連携も進め、発信力を強化する。地球社会の持続可能な発展のための「水・エネルギー・防災」をはじめ、仮想通貨を数理的に研究する「ブロックチェーン」▽人と人とのつながりと幸福感との関係を科学的に解明する「ウェルビーイング」▽月や火星に居住するために必要な技術の開発を目指す「有人宇宙学」――の四つの研究領域から出発する。センター長の寶(たから)馨・同学館長は記者会見で「企業との共同研究による技術革新だけでなく、社会起業家らとも協力しながら社会を動かしていきたい。京大と組み、社会貢献がしたい学外の人からの窓口になれれば」と話した。(小林正典)

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