災害時でも安心の「緊急医療手帳アプリ」を開発 難病患者の医療情報200項目を管理


北陸大(金沢市)の高橋純子准教授(49)=保健学=らが、人工呼吸器をつけて在宅療養している難病患者らの医療情報を管理できるアプリを全国に先駆けて開発した。災害時に避難先の病院などで正確な情報を伝えることで、適切な治療につなげる狙い。患者や家族は症状に関する説明時間を大幅に短縮することができ、新型コロナウイルスの感染予防の効果も期待できる。(高橋雪花)アプリは「災害時緊急医療手帳」。筆談できるのか、文字盤で意思疎通するのかなどのコミュニケーション手段や、人工呼吸器の装着時間など約200項目を入力する。保険証や障害者手帳の写真も保存できる。筋萎縮性側索硬化症(ALS)や重症心身障害などの患者やその家族が被災した際、避難先の病院や避難所にいる医療関係者にスマートフォンなどを見せ、必要な情報を伝える。紙の緊急医療手帳を配布している都道府県や保健所も多いが、項目はばらばら。利用者が情報を書き換えていなかったり、日ごろから携帯していないため、災害時の混乱で紛失したりする懸念がある。高橋准教授は全国の保健所や病院126施設から、緊急医療手帳を取り寄せて必要な情報などを整理。人工呼吸器などを操作する臨床工学技士の助言も得た。アプリはソフトウエア開発会社「アイパブリッシング」(金沢市)と開発。入力や更新をしやすいように回答を選択制にしたり、見やすいようにシンプルなつくりにした。高橋准教授は「災害時は病院も混乱しており、患者一人一人に病状について丁寧に聞き取りをするのは難しい場合もある。このアプリで、災害時に1人でも命を救えれば」と話す。アプリは現在、米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」の基本ソフト(OS)「iOS」のみに無料で対応している。今後アンドロイド版も出す。ALS患者を支援するNPO法人「ALS/MNDサポートセンターさくら会」(東京都)副理事長で、自身もALSの母を介護していた川口有美子さん(57)は「医療データを自分や家族で管理できる点が重要。介護に関する項目もあり、こうしたアプリは見たことがない。繊細な体調管理が必要な人たちにとって、急にいつもと違う環境の病院に運ばれても安心できる」と話した。【関連記事】【関連記事】

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