「まさか、救急搬送されてきた赤ちゃんが新型コロナウイルスに感染しているとは誰も思わない」。0歳女児の感染を1日に発表した山梨大の島田真路学長(皮膚科学)はそう話した。同大付属病院(山梨県中央市)では医師、看護師ら医療スタッフ44人と患者12人の計56人が濃厚接触者となり、今後の医療態勢に課題を残した。島田学長らによると、乳児であることや、両親に風邪症状がないことから新型コロナを疑わず、医療スタッフはマスクの着用など通常防備の「標準予防策」と呼ばれる装備で処置にあたった。女児は肺のCT検査で軽度の肺炎とみられたが、小児科の教授が、他の医師が難色を示す中、新型コロナのPCR検査に踏み切ったところ、陽性だった。このため、結果が出るまでに関わった、小児科医8人▽救急部医師4人▽研修医5人▽集中治療室(ICU)看護師15人▽放射線技師2人▽薬剤師1人▽第2外科医師1人▽臨床工学技士2人▽安全管理部看護師1人▽外来看護師2人▽看護助手2人▽病棟医師事務作業補助者1人-の計44人が濃厚接触者となり、2週間の自宅待機となった。周辺の病院と連携して診療態勢は維持しているが、武田正之病院長は「オーバーシュート(爆発的患者急増)が起きたら対応できない」と指摘。今回、医師の機転でPCR検査を行ったことについて「米国のように交通事故で運ばれてきた人が陽性だったということが日本でも起きるかもしれない。検査していなかったら院内感染が起きていた」と述べた。