第57回日本薬剤師会学術大会座長
日本薬剤師会理事
山浦克典
埼玉県薬剤師会薬学生実務実習部会
中島孝則2022年薬学教育モデル・コア・カリキュラムが改訂され、今年4月に入学した6年制課程の学生から適用となった。今回のモデル・コア・カリキュラムは、医学・歯学・薬学教育で同時に改訂されることとなり、「未来の社会や地域を見据え、多様な場や人をつなぎ活躍できる医療人の養成」が共通のキャッチフレーズとして掲げられた。慶應義塾大学春田淳志教授に、医学教育の立場から「将来の社会を見据えた医療者の育成について」と題した基調講演をお願いした。春田先生は、多職種連携コンピテンシーの研究もされていた医師であり、医療の構造的課題を提示しながら、高齢化社会の中で必要となる多職種に求められる共通の理念と医療人教育について解説していただく。ベストセラーとなった「先生、どうか皆の前でほめないでください」著者の金間大介金沢大学教授から、「『素直でまじめでいい子』でも『失敗することが怖い』:いい子症候群の若者たちと共に前へ進むために」と題し、学習者である若者の置かれた環境や思考特性などについての解説を中心に、医療人教育の中でも活用できる育成法について講演いただく。学生教育のみならず、若手スタッフの育成にも参考になることは間違いない。小佐野博史帝京大学薬学部名誉教授には、カリキュラムの改訂に関わった立場から、なぜ薬学部のカリキュラムに学修成果基盤型教育(OBE)が導入されたのか、なぜSBOs(行動目標)/GIO(一般目標)がR4モデコアでなくなったかという背景を基に、カリキュラムと薬学実務実習ガイドラインのつながり、改訂薬学教育モデル・コア・カリキュラムの目指すことと臨床教育への有効な活用についてお話しいただく。田島(埼玉県薬剤師会薬学生実務実習部会)からは、実際の実務実習での経験をもとに、薬局という学習環境の特性を示し、改めてガイドラインに示された患者から学ぶとはどのようなことかを一緒に考えたい。薬学以外の多彩な演者の講演を聞きながら、これからますます多様性を増す社会に対し、薬剤師は何を提供できるのか考えるきっかけにしていただければ幸いである。(田島敬一)