4月から変わる喫煙ルールと治療環境 「たばこと健康」高崎健康福祉大教授 東福寺幾夫


一昨年7月に改正された健康増進法が順次施行され、昨年7月から学校、医療機関、児童福祉施設、行政機関などが敷地内禁煙となった。4月からは以下のようなルールが施行される。(1)喫煙目的の施設を除き屋内は禁煙(2)施設管理者は喫煙目的施設には標識を掲示(3)施設管理者は喫煙禁止場所に灰皿等を設置してはならない(4)喫煙禁止場所での喫煙は罰せられることがある(5)施設管理者は未成年者を喫煙場所に立ち入らせてはならない(6)未成年者は喫煙場所への立ち入り禁止敷地内禁煙の医療機関や学校、児童福祉施設などで働く喫煙者は職場での喫煙はできなくなる。この機会に、禁煙を考えてはどうだろうか。未成年者の喫煙場所への立ち入り禁止も、法施行のポイントだ。飲食店が4月からどの程度全面禁煙になるのか、まだ分からないが、飲食店は学生らの有力なアルバイト先だ。施設管理者は、従業員・利用者を問わず未成年者が喫煙場所に立ち入らないようにする義務がある。飲食店、学生双方に周知徹底を図る必要がある。禁煙治療には、標準的な治療プログラムが用意されている。期間は12週間で、5回の診察を受けることになっている。今年4月から健康保険による禁煙治療(ニコチン依存症治療)に、以下の改定が行われた。(1)加熱式タバコ利用者も健康保険による禁煙治療の対象となった(2)禁煙達成の動機付けとして5回の禁煙治療費を一括前払いすると、診療ごとに支払うより安くなる仕組みが設けられた(3)健康保険による5回の禁煙治療のうち、初回と最終回は通院による対面診療が必要だが、2、3、4回目はオンライン診療も利用可能となった従来、遠隔禁煙治療は保険者が実施する場合にのみ認められていたが、今回保険診療として途中3回の診療をオンラインで実施することが認められた。禁煙希望者にとっては通院負担が軽減されるが、途中脱落が増えないかという心配もある。群馬県内には禁煙外来を開設する医療機関が200カ所以上あるが、オンライン診療の実施可能施設がどの程度あるかは今後、調べてみたい。さまざまな依存症の治療にスマートホン(スマホ)アプリを応用すること(デジタルセラピー)が世界で広がりつつある。デジタルセラピーはニコチン依存症やギャンブル依存症を対象に国内でも治験が進められており、海外では薬物依存症治療にも応用されている。デジタルセラピーを利用して患者の状態を継続的にモニターすることで、診療提供者との密なコミュニケーションが実現し、治療成功率が高まるとの報告もある。デジタルセラピーの禁煙治療への応用と保険診療への適用が期待されている。(高崎健康福祉大教授 東福寺幾夫)

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