唾液でPCR検査可能に 厚労省2日通知、都が導入方針


厚生労働省は新型コロナウイルスの感染を調べるPCR検査の検体に唾液を使えるようにすることを決めた。2日に自治体向けに通知する。鼻の粘液を採る従来の方法よりも医療従事者の感染リスクが低く、効率的な検査が可能になる。国内では島津製作所とタカラバイオが唾液にも対応可能とするPCR検査試薬を開発している。東京都の関係者によると、都は検査能力の拡充を図るため、唾液によるPCR検査を本格導入する方針だという。新型コロナのPCR検査では、医療従事者が被検者の鼻の奥の粘液を採り、検体に用いている。厚労省が鼻の粘液と、唾液のPCR検査精度を評価した結果、唾液でも鼻の粘液とほぼ同等の精度を得られるとの結果を得た。国立感染症研究所が作成する検体採取マニュアルを改定し、今後は唾液を使った検査も可能にする。健康保険も使えるようにする。鼻の奥の粘液を採取するには綿棒を数センチ以上差し込む必要があり、患者のくしゃみなどで医療従事者が感染リスクにさらされるという問題があった。感染防護のために医療用の高機能マスクや防護ガウン、フェースシールドなどが必要となり、検査態勢を拡充するうえでボトルネックとなっていた。唾液の場合、患者自身が容器に吐き出すだけで簡単に採取できる。個室などで自己採取も可能だ。将来的には一般の診療所などでも検査できるようになる可能性がある。厚労省が唾液による検査を認めるうえでは、鼻の粘液を用いた場合と同等以上の精度があるかが焦点だった。米エール大は4月、唾液は鼻の粘液に比べ新型コロナの量が多く、感度が高いとする報告をまとめた。だが逆に感度が落ちるとの報告もあり、慎重に検討を進めていた。米国は唾液による検査の導入で先行している。米食品医薬品局(FDA)は4月、米ラトガース大が開発した唾液検査法の緊急使用を認可した。5月には同大による自宅での唾液採取のキットの緊急使用も認可している。日本医師会は5月7日、唾液を検体に用いたPCR検査の実用化を政府に申し入れていた。

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