厚労省のコロナ感染者管理システム、データ活用開始へ


厚生労働省が新型コロナウイルス感染者の迅速な把握と保健所の負担軽減を目指して開発した新システムのデータ活用がようやく始まりそうだ。厚労省は6日に開催した新型コロナ対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の会合で、新システムのデータから分析した感染状況の結果を公表した。自治体などと調整がつき次第、現在は自治体の公表データを集計して毎日発表している全国の感染状況を、新システムに置き換える計画だ。公表したのは、「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)」のデータを使った新規陽性者数の推移など。基本的には従来の自治体公表データの集計結果と同様の内容だが、保健所ごとの感染者数推移など詳細な分析も可能になる。HER-SYSは厚労省が開発し、医療機関などで患者情報を入力する。保健所を設置する155の自治体すべてで2020年9月までに運用を開始した。20年秋からデータ活用に向けてマイクロソフトのデータ分析ツール「Power BI」の運用も始めたが、入力データの精度管理の不備などで自治体公表データと一致しない課題があり、HER-SYSでのデータ活用が進んでいなかった。その後、精度管理の仕組みを整えたことで「自治体公表データと近くなってきた」(厚労省担当者)ため、今回分析結果を公表した。従来は医療機関などで記入した患者情報を各保健所や各自治体で集計、公表したデータを厚労省で取りまとめていたが、HER-SYSに切り替えることで全国の感染状況をリアルタイムで把握できるようになる。(日経クロステック/日経コンピュータ 長倉克枝)[日経クロステック 2021年1月6日掲載]

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