<独自>処方箋電子化に38億円 令和4年度運用開始 コロナ踏まえデジタル化推進 厚労省…


厚生労働省は令和3年度予算の概算要求に、医療機関が発行する処方箋の電子化に向けたシステムの構築に、新規事業として38億円を計上する方針を固めた。新型コロナウイルス感染の流行を踏まえ、電子化によりオンライン診療、服薬指導の円滑な実施が可能になる。4年度の運用開始を目指す。同省は3年度予算について「ポストコロナ時代を見据えて、全分野におけるデジタル化を重点的に推進する」としている。仕組みは、医療機関が電子処方箋をサーバーに登録し、薬局は患者の本人確認をした上で、サーバーから電子処方箋を取得するという流れを想定している。薬局は調剤情報を登録し、医療機関は処方時に調剤情報を閲覧することができる。医療機関と薬局がリアルタイムで処方情報を共有することで、患者への薬の重複投与の防止につながる。患者にとっては、これまでは病院で受け取った紙を薬局で渡す必要があったが、紙の受け渡しが不要になり、利便性が向上する。菅義偉(すが・よしひで)首相はオンライン診療の恒久化の検討を指示しており、処方箋の電子化は恒久化を見据えた取り組みともいえる。概算要求には、医療機関での医療機器の不具合報告のオンライン化も盛り込む。医療関係者による書面での不具合報告を電子化することで、医療機関の負担を軽減する。コロナ感染の流行で、人工呼吸器などの医療機器の使用頻度が増える中、医療機器の不具合による医療現場の混乱を回避する狙いがある。このほか、感染の有無を調べるPCR検査や抗原検査の体制強化に向け、「地域外来・検査センター」の各地での設置や民間検査機関の活用などを盛り込む。保健所の機能強化や、感染者の情報を共有・管理する新システム「HER-SYS」(ハーシス)を使った情報収集の効率化と機能強化も要求する。また、すべての国民が新型コロナのワクチンを接種できるようにするため、ワクチンの購入、接種体制の構築、ワクチンだけでなく治療薬も含め研究開発の支援も盛り込む。新型コロナ関連以外では、首相が検討を指示している不妊治療の保険適用に関連し、実現するまでの対応策として既存の助成制度の拡充も要求する。増額幅や財源については「予算編成過程で検討する」とした。

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