厚生労働省、「オンライン初診」継続


厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」(第10回)が6日に都内で開かれ、新型コロナ感染症拡大に伴うオンライン等による初診を認める時限的・特例的な取り扱いについて、当面継続することに合意した。特例は4月に導入され、概ね3ヵ月間で実施状況を分析・検討する方針だった。会合では全国を対象にした実態調査結果も明らかになった。8月6日の検討会では、「時限的・特例的な取扱いを当面の間継続することとし、 次回の検討会においても、改めて『収束』と言えるか評価する」という方針で合意。6月下旬から新型コロナウイルス感染者数が再度増加している影響もあり、新型コロナウイルス感染症以外の疾患について受診控えが見られていることなどが理由に挙がった。また、次回の検討会も概ね3ヵ月後に開催するとし、評価にあたっては、「患者が安心して医療機関の外来を受診できる頃と言えるかどうか」を判断材料にする方針が示された。特例継続の判断に先立ち、厚労省医政局から、4月から6月までのオンライン診療及び電話診療の時限的・特例的な取り扱いの実績値(都道府県に報告があったもの)が報告された。最も多かったのは5月で、電話診療が5461件、オンライン診療が2807件、電話かオンラインかの記載のない「不明」が1478件、合計9746件だった。緊急事態宣言解除後の6 月は、合計5771件に減少している。対応医療機関は4月27日時点で1万812ヵ所、全医療機関に占める割合は9.7%、このうち初診対応は4378ヵ所だった。7月末時点では1万6202ヵ所(全医療機関の14.6%)、初診対応は6801ヵ所へ増えている。受診者の年齢別割合で高齢者をみると、電話診療は
▽61歳から70歳が全体の5.75%
▽71歳から80歳が4.18%
▽81歳から90歳が2.05%—など。オンライン診療は
▽61歳から70歳が全体の2.37%
▽71歳から80歳が1.88%
▽81歳から90歳が1.02%
—などとなっている。60歳以上の受診者の疾患・症状は多い順に、発熱、上気道炎、気管支炎、湿疹、アレルギー性鼻炎、咽頭炎、咳などとなっている。なお、年齢別で最も利用が多かったのは0歳から10歳までの小児で、電話診療が28.30%、オンライン診療が37.41%だった。今回の調査では、厚労省が4月10日付で発した事務連絡での特例措置の要件に合致しているか、どのような医薬品が処方されたかの調査・検証も行われている。その結果、禁じられていた
①麻薬および向精神薬の処方
②基礎疾患情報が把握出来ない状態での処方日数やハイリスク薬の処方
③遠方の患者の診療
も、全国で生じていたことが判明。処方薬に関しては、都道府県から医療機関への指導が依頼された。遠方の診察では、東京都の医師が北海道や岩手県の患者を診察したケースがあり、厚労省では「概ね2次医療圏内や生活・通勤圏の範囲が望ましい」との考え方を改めて周知する。処方された医薬品は、解熱鎮痛薬、鎮咳薬、抗アレルギー薬、去痰薬などが上位を占めており、検討会の委員からは「電話やオンラインでの診療に限界があり、疾患の特定には至らず対処薬の処方にとどまっているのではないか」との見方も示された。

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