難病で父亡くしたシンガーソングライター、コンサートで研究費支援


神経系の難病で父を亡くした静岡県焼津市出身のシンガー・ソングライター、yosu(よす)さんが、チャリティーアルバムの制作やコンサートを通じた寄付で難病研究の支援をする「テンダーソングプロジェクト」をスタートした。「子どもたちにしか届けられない感動や元気がある」との思いを込め、レコーディングには県内の小中学生8人が参加し、11月のコンサートに向けて練習を続けている。yosuさんの父は焼津市で小さな診療所を営んでいたが、神経難病の一つ「多系統萎縮症」を患い、2014年に死去した。診断がつくまでの数年間、いくつもの医療機関にかかったが原因さえ分からず、体はどんどん動かなくなった。本人も家族ももどかしさと不安にさいなまれる壮絶な闘病と介護の日々だったという。自然と口ずさみたくなるようなメロディーラインと透き通った歌声がyosuさんの音楽の特徴。ピアノの弾き語りを中心に、企業のイメージソングやテレビCMへの楽曲提供、学校での出張ライブなどを続けてきた。そして、音楽活動15年目を迎え、「父の病気をきっかけに芽生えた『音楽を通じて静岡の医療福祉に寄り添いたい』という夢に一歩踏み出す決心をした」。プロジェクト始動に先立ち、5月から3カ月間、クラウドファンディングを実施した。チャリティーアルバムの制作やコンサートの開催費用として、約330万円が集まった。アルバムにはyosuさん作詞作曲の10曲を収録する。サビの「この道を行こう。君に見せたい景色がある」というフレーズが耳に残る曲「ROUTE」には、ミュージカル出演経験がある小学6年から中学2年までの女子児童・生徒8人が歌唱参加し、今月8日にレコーディングが行われた。チャリティーコンサートは11月2日午後6時から「しずぎんホールユーフォニア」(静岡市葵区)で開かれ、8人はそのステージにも立つ。神経難病には多系統萎縮症のほか、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)など多くの疾患がある。プロジェクトでは、コンサートの開催経費を除く入場料収入全額と、アルバムの売り上げの半額などを国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター(静岡市葵区)に神経難病研究費として寄付する。yosuさんは「治療法や原因解明の研究が進まず、苦しんでいる患者や家族がたくさんいる。優しい音楽を作り、真摯(しんし)に届けることで、ずっと貢献していきたい」と話す。コンサートの詳細などはyosuさんの公式ホームページに掲載。【丹野恒一】

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