初診料90円、再診料40円上昇 医療者賃上げへ診療報酬改定


厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会は14日、診療報酬の改定内容を公表した。物価高騰などを踏まえ、医療従事者の賃上げに向けて初診料と再診料を引き上げる。多くの医療機関では初診料が90円、再診料は40円上がる見通し。3割負担の人ではそれぞれ27円、12円の負担増となる。入院基本料も上がるなど、診療に関する基本的な利用料が引き上げられる。厚労省はこれらを原資に2024年度で2・5%、25年度で2%のベースアップを目指す。改定は2年に1度。政府は昨年末の予算編成で医師らの人件費などに充てる診療報酬「本体」部分の0・88%引き上げを決定。今回は配分の詳細を固めた。具体的には、全ての医療機関で初めての診察をした時に請求できる「初診料」が30円、2回目以降にかかる「再診料」が20円上がる。加えて医療機関が賃上げ計画を作成すれば、初診料で60円、再診料で20円上げられる。初再診料の算定回数が少ない医療機関はさらに初診料で最大640円、再診料は同80円それぞれ上げることが可能になる。自己負担割合は年齢や所得に応じて1~3割に分かれ、診療報酬が上がれば自己負担も増す。入院基本料も見直す。利用する病棟に応じて1人1日当たり50~1040円上がる。さらに賃上げ計画の作成など一定の基準を満たせば10~1650円引き上がる。一方で、診療所の利益率が高止まりしているとして一部の報酬を是正する。「特定疾患療養管理料」(1回2250円)の対象から、診療所での算定が多い糖尿病や高血圧、脂質異常症を外す。外来患者の場合なら算定できる「外来管理加算」(1回520円)なども合わせて算定できないように見直す。また、新型コロナウイルス対策の特例的な措置が3月末で期限を迎えるため、新たな対策を検討する。感染症が疑われる発熱患者を受け入れるため、パーティションなどの態勢を整えた場合に月に1回算定できる新たな加算を設ける。マイナンバーカードを健康保険証として使うマイナ保険証の普及に向け、パソコン画面などで診療情報を見ながら診察できるように整備した医療機関には患者1人につき80円加算する。訪問診療などで患者の情報をケアマネジャーらと共有するため情報通信技術(ICT)を活用したら報酬を増額する。新たな内容を盛り込んだ診療報酬は6月に改定される。【村田拓也】

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