改定の焦点は「在宅」「かかりつけ」


2024年度診療報酬改定案が中央社会保険医療協議会総会で答申された。22年度調剤報酬改定では調剤料と薬剤服用歴管理指導料にかかる業務内容を整理し、新たに「薬剤調製料」「調剤管理料」「服薬管理指導料」と対物業務、対人業務を整理・再編成した。対人業務の評価をめぐり注目が集まった24年度改定のキーワードは、「かかりつけ」「在宅」になるのではないだろうか。患者のための薬局ビジョンでは、25年までに全ての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つ方向性が示されているものの、目標達成が難しい状況にある。そこで24年度改定では、薬局の地域におけるかかりつけ機能を適切に評価する観点から地域支援体制加算の要件を厳格化した。調剤基本料1の算定薬局を対象とした地域支援体制加算1、基本料1以外の算定薬局対象の同加算3では、「かかりつけ薬剤師指導料等の実績」の処方箋1万枚当たりの年間回数がそれぞれ「20回以上」「40回以上」の要件を満たさなければ算定できないルールに変更する。これまでの施設基準は「かかりつけ薬剤師指導料等にかかる届出を行っていること」となっていたが、実績を求めた。さらに、調剤基本料2の算定対象となる処方箋受付回数月4000回超の薬局については、「特定の医療機関の集中率70%超」から「上位3医療機関の集中率70%超」と範囲を広げ、調剤基本料1の算定ハードルを上げた。全国各地で人口減少に突入する中、立地ではなく患者から選ばれなければ、薬局としての生き残りが難しい。まさに地域住民のニーズに応じた、かかりつけ機能の強化が薬局に突き付けられている。地域医療で薬局の輪番制など薬局間連携が叫ばれているが、患者を取り合う薬局間競争が激しくなる局面も予想される。一方、医療と介護の同時改定を機に、在宅業務に乗り出す薬局にはチャンスが生まれる。6月以降は在宅移行期から在宅療養、ターミナル期と全てのステージで薬学管理に関する評価が行われる。在宅移行期や処方箋交付前において、薬剤師が医師や多職種と連携して必要な指導を実施したり、処方内容を調整した場合に新たな評価が加わる。薬局の体制評価では「在宅薬学総合体制加算1」「同2」が新設された。同加算1は、在宅患者に対する必要な薬学的管理や指導体制を整備した薬局、同加算2はこれらに加え、癌末期などのターミナルケアまたは医療的ケア児の小児在宅患者に対する体制を持つ薬局を評価するもので、賛同したい。ターミナルケアや小児在宅に関与する薬局は少ない。全国で4月からスタートする第8次医療計画では麻薬調剤や無菌調剤、小児在宅に対応した実績を持つ薬局数などを指標に評価していくこととなるが、今回の改定を追い風にしてほしい。

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