医療機関の4月収入、前年比13%減 「秋までもたず」


新型コロナウイルスへの対応で緊急事態宣言が出された4月、病院や診療所といった医療機関全体の収入が前年同月より13・0%減少した。厚生労働省が医療機関の収入となる診療報酬の全国状況をまとめて明らかになった。最もマイナス幅が大きい耳鼻咽喉(いんこう)科は、4月の収入が前年同月の4割以上減った。厚労省が与党の一部に示した今年2~4月の診療報酬の全国状況によると、医療機関全体では3月に前年同月比3・0%減となった後、4月に同13・0%減と落ちこみ幅が広がった。4月の診療科別では耳鼻咽喉(いんこう)科が同44・1%減、小児科が同39・2%減、眼科が同25・2%減だった。一方で内科は同16・4%減、産婦人科が同10・6%減と、比較的落ち込みは小さかった。日本病院会など病院団体の調査では、有効回答があった1203病院の4月の利益率はマイナス8・6%と大幅な赤字だった。うち新型コロナの患者を受け入れた339病院は利益率がマイナス10・8%だった。コロナ禍での大幅減収などを理由に、東京女子医科大学病院(東京都新宿区)は夏の一時金(ボーナス)を支給しないと労働組合側に伝達。看護師らの大量退職につながれば、感染の第2波に備える医療体制に悪影響が及ぶおそれもある。日本医師会の中川俊男会長は15日の会見で「もうすぐ5月の結果が出るが、もっと減っている」と指摘。このままでは「秋までもたない」医療機関も出るとして、公的支援を訴えた。(久永隆一)

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