電子処方箋、稼働へ 厚生労働省


保健医療情報を全国の医療機関や本人が電子的に把握する仕組みを検討している「健康・医療・介護情報利活用検討会」(座長/津田塾大学総合政策学部 森田朗教授)の第3回会合が15日に厚生労働省内で開催され、オンライン資格確認の基盤づくりとともに、電子処方箋の具体的運用を議論した。病院よりも穏やかに、自分らしく、わが家で過ごせる訪問診療(PR/医療法人社団ききょう会)「オンライン資格確認」とは、保険医療機関などで療養給付などを受ける際の被保険者資格の確認について、マイナンバーカードのICチップにある公的個人認証機能を使う仕組み。「マイナポータル」(政府が運営するオンラインサービス)にログインして、そこから医療機関、薬局などと情報を共有し合う。さらに現在は世帯単位になっている被保険者番号を、個人単位で管理・運用していくことになる。厚労省の計画では、2021年3月末でおよそ6割、23年3月末には、ほぼ全ての保険医療機関などへオンライン資格確認を普及させる考えだ。オンライン資格確認の具体的な活用策として、電子処方箋の導入があり、健康・医療・介護情報利活用検討会でも議題の1つとなっている。厚労省では23年度の本格運用を目指している。仕組みは、(1)オンライン資格確認の基盤を活用した電子処方箋のサーバーを設置(2)患者が医療機関を受診(3)医療機関は電子処方箋を登録し、患者にアクセスコードと確認番号を発行(3)薬局において、発行されたアクセスコード等で本人確認を行い、電子処方箋のサーバーから当該患者の電子処方箋を取得(4)患者へ服薬指導、薬剤交付(5)薬局は調剤情報を電子処方箋サーバーに登録という流れで、厚労省は一連の電子処方箋システムを21年10月から稼働させる考えだ。新型コロナウイルス感染症への対応で、オンライン診療が改めて注目を集め、処方箋にもペーパーレス化が期待されているが、現状は通常、医師が紙媒体で発行する処方箋を、電子メールやファクシミリで調剤薬局へ送る、代替的なやりとりを認めている程度だ。これに対し、電子処方箋は情報自体の電子化・蓄積を行い、医療機関と薬局間の情報共有を効率化することに加え、患者自らが服薬などの情報もPHRとして電子的に管理できるなど、多面的なメリットが期待される。また、「お薬手帳」も電子化されれば、より多くの情報が保持できる。他方で、インフラ整備の初期投資や当面は従来業務との並行事務といったコスト増や煩雑化が懸念される。さらに、服薬情報や既往症などを含めた個人情報保護の管理体制も問われる。そのため、15日の検討会でも委員からは「認知症の人など本人確認ができないケースでどう対応するのか」「保険診療ではない処方箋の場合はどうすればよいのか」といった意見が挙がった。

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