岡山県内4保健所長が空席 相次ぎ依願退職し“非常事態”


岡山県内で新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、県が管轄する5保健所(備前、備中、備北、真庭、美作)のうち4保健所の所長が空席という“非常事態”となっている。現職の所長が3月末で相次ぎ依願退職、所長は原則医師資格が必要なことなどから、急な手当てが難しいためだ。現在は資格を持つ県幹部らを兼任させてしのいでいるが、保健所は新型コロナ対応の最前線だけに、県は担い手の確保に躍起だ。 県によると、退職したのは真庭を除く4保健所の所長だった3人(備中、備北は兼務)で、理由はいずれも一身上の都合だった。県は緊急措置として本庁勤務の部長級職員に備前、備中、備北の3保健所長を、今月に真庭保健所長から異動した美作保健所長に真庭の所長をそれぞれ兼任させた。 地域保健法施行令は、保健所長は医師資格を持つ人か、医師と同レベル以上の専門知識を持つ人と規定。県の職員で医師資格を持つ計13人のうち他に適任者はいなかったという。 保健所は住民の健康管理や公衆衛生を所掌し、新型コロナ禍では感染者の接触歴調査や健康観察といった役割を担う。5保健所では会議にウェブを活用したり、役割分担を見直したりして、複数の所長を兼ねる2人の負担を軽減。県によると、現時点で業務に支障は生じていないが、「それぞれに所長の配置が必要であることに変わりはない」(保健福祉課)。 県では、県医師会や県病院協会にも協力を依頼して後任探しを進めており、今月に入って1人を採用し、現在は所長に就かせるための研修を行っている。しかし、残る3人は確保のめどが立っていない。 採用が難しい背景には保健所など行政機関で働く公衆衛生医のなり手不足もある。全国保健所長会の内田勝彦会長(大分県東部保健所長)によると、臨床医に比べてなじみの薄い公衆衛生医の不足は全国的な課題といい、全国470保健所のうち所長兼務の割合は10~15%に上る。 同課は「新型コロナの感染拡大で公衆衛生医の役割は重要度を増しており、今の状況をできるだけ早期に解消したい」としている。

関連記事

ページ上部へ戻る