神戸アイセンター病院、iPS網膜治療を拡大 厚労省了承


人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜の細胞を目の難病患者などに移植する神戸市立神戸アイセンター病院の新たな臨床研究について、厚生労働省の作業部会が20日、実施を了承した。従来は主に安全性の確認が目的だったが、有効性の確認に重点を移し、治療の対象や手法も拡大してより実用的な成果を目指す。今春にも移植手術を実施する。臨床研究は網膜に栄養を与える「網膜色素上皮」に異常が生じ、視力が衰える網膜色素上皮不全症の患者50人が対象。iPS細胞から色素上皮細胞を作って移植し、視力や視野の改善効果などを1年間観察する。チームはiPS細胞を使った臨床研究で平成26年以降、網膜色素上皮不全症の一種である加齢黄斑(おうはん)変性の「滲出(しんしゅつ)型」の患者6人に移植を行い安全性を確認。これを踏まえ今回は別タイプの「萎縮型」の患者にも実施し、有効性を確認する。移植する網膜細胞は当初、シート状に加工していたが、今回はばらばらの状態で注入する。短期間で簡単に実施でき、患部に広く行きわたる利点がある。網膜色素変性症については昨年10月、光を感知する視細胞を初めて移植。今回は色素上皮細胞の異常が原因で発症した患者を対象に実施する。臨床計画は昨年11月、大阪大の有識者委員会で妥当性が承認され、厚労省の部会に実施を申請していた。

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