野口宇宙飛行士のミッションは? ISSでiPS細胞を使った実験など


宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日、米民間企業スペースXの新型宇宙船で国際宇宙ステーション(ISS)に向かう予定の野口聡一宇宙飛行士(55)が日本実験棟「きぼう」で実施予定のミッションの内容を発表した。ISSに約半年間滞在し、移植可能な立体的な臓器作製につながるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った実験などに取り組む。細胞培養によって立体臓器を作る研究では、宇宙は無重力に近いため構造に影響が生じにくく有利だと考えられている。野口さんは今回、横浜市立大の研究チームが地上でiPS細胞から作った肝臓の基となる組織「肝芽」と、血管のような構造体を合わせて培養する。地上での培養と比較して重力の影響が分かれば、立体臓器を作る装置の開発に役立つと期待される。また、さまざまな物質の燃え方を観察し、宇宙での材料燃焼性評価の国際基準作りのためのデータ取得を目指す。抗がん剤や自己免疫疾患の薬の開発につながるたんぱく質の結晶化実験にも取り組む。この他、来年3月11日に東日本大震災の発生から10年となるのに合わせ、震災の記憶や復興のイメージをプリントした横断幕を持ち込み、被災者から集めたメッセージを読み上げ世界に発信する。映像をISSで撮影し、3月11日に公開する。野口さんはスペースXの「クルードラゴン」に米航空宇宙局(NASA)の飛行士3人と共に搭乗し、11月上旬以降にISSへ向かう予定だ。【信田真由美】

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