乳幼児の誤飲・誤嚥、防ぐには 県内外で事故、万が一には応急処置を


今月7日、都内の私立幼稚園で男児が給食のブドウを喉に詰まらせて死亡する事故が起きた。栃木県でも過去に白玉団子で死亡事故が発生。宇都宮市などは保育園に国のガイドライン確認などを通知したが、事故はいつどこで発生するか分からない。同市消防局は「窒息は家庭でも起こりやすいので、日頃の食事のときも十分注意を」と呼び掛けている。同市消防局によると、2019年に救急搬送された乳幼児(0~6歳)の一般負傷171件のうち、異物を誤って飲み込む「誤飲」や飲み込んだものが気道に入る「誤嚥(ごえん)」、誤飲や誤嚥による窒息は16件。乳幼児はかむ力や歯の発育などが未熟で窒息のリスクが高いとされるだけに、全体の約1割とはいえ、命に関わる危険な案件だ。同市や白玉団子による保育園児死亡事故が発生した栃木市、小学1年生が亡くなった真岡市では、既に誤飲や誤嚥を招きやすい食べ物を給食で使わないなど対策を取っている。その上で都内の事故を受け、宇都宮市、栃木市は公立保育園などに事故防止策徹底などを通知。宇都宮市保育課では「忙しくても子どもの食事中は目を離さず、家族が『よくかんで食べよう』と声を掛けることが重要」とし、保護者にも注意を促した。ガイドラインでは餅や白玉団子が「誤嚥・窒息につながりやすい食材」に記載されているほか、プチトマトやブドウ、乾いた豆類などが「球形のもの」に分類されている。同市消防局の救急搬送ではパン(唾液を吸うもの)やナシ、リンゴ(固いもの)などを喉に詰まらせた例があり、普段なじみがある食べ物でも配慮が必要だ。しかし万が一の事態が起こる場合もある。同市消防局は「気道がふさがれた状態が数分続くと死に至る恐れもあるため、迅速な応急処置が必要」と指摘。「突然顔色が悪くなった」「首元を押さえるようなしぐさをする」「声やせきが出なくなった」ときはすぐに119番する。救急隊を待つ間は(1)うつぶせにしてあごを支えながら肩甲骨の中間を手のひらの付け根で力強くたたく(背部叩打(はいぶこうだ)法)(2)1歳以上なら握りこぶしをへその少し上に当てて斜め上に突き上げる(ハイムリック法)を繰り返す。異物が出てきた時はかき出し、意識がない場合は心肺蘇生法も行う。同市消防局は「食事中は子どもを驚かさない、寝た状態などで食事させない、食材を細かく切るなどの工夫を心掛けてほしい」としている。

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