兵庫県立病院、14億円減収 新型コロナ響き19年度


兵庫県は25日までに、新型コロナウイルス感染症の影響による減収が、県立全13病院の2019年度決算見込みで計14億円になったとの試算をまとめた。陽性患者を受け入れるための空き病床確保や、感染を懸念した受診控えなどが要因とみられ、国内で感染拡大の兆しがみられた2月中旬から決算月の3月にかけての打撃が大きい。病院別でコロナによる減収は多い順に、尼崎総合医療センター(3億9300万円減)▽加古川医療センター(3億4500万円減)▽姫路循環器病センター(1億6300万円減)▽西宮病院(1億3300万円減)。県全体の拠点病院である加古川医療センターや、県内初の患者が発生し、介護施設でもクラスター(感染者集団)が生じた阪神地域の病院が目立つ。県によると、コロナ患者用病床を確保した場合の病院への補償費は、3月時点で1日当たり1床1万6190円。これまで徐々に引き上げられ、現在は最も高額な集中治療室(ICU)で30万1千円となっている。それでも病院側の金銭負担が大きいとして、さらなる支援拡大の要望があり、政府は9月15日、ICUへの補助額をさらに1・4倍に増やすことを閣議決定した。空き病床以外の要因では、コロナ患者受け入れに備えた診療体制縮小や、感染防止対策に伴う手術件数の抑制、コロナ以外の外来患者が感染を恐れて受診を控えたことが挙げられる。尼崎総合医療センターの推計では、2月中旬から3月までの1カ月半で、外来患者が見込みより約7千人減の約3万7千人に落ち込んだという。県の担当者は「懸命にコロナ患者を治療する現場や医療体制の確保と、経営の安定、維持の両立に苦心している」と話している。(藤井伸哉)

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